はじめに
2021年に入ったばかりの頃、そんな父に大腸癌が見つかったんです。父の仕事は移動や野外での作業も多く、身体を病んでもなお仕事を続ける父の姿を見るのが辛かったです。そんな状況もあり、SOL’Sが一緒に何かできることはないだろうかと考え、荒井鉄工所で焙煎機を作るのはどうかと父に提案したんです。焙煎機は自家焙煎を行うSOL'S COFFEEとも関係の深いもので、そうなったら父の過酷な仕事環境も少しは改善するんじゃないかと。
癌の手術は無事成功しました。しかし体調も落ち着くかに思えた矢先、立て続けにコロナ感染症に罹患してしまったんです。救急車で運ばれたものの、一晩中受け入れ可能な病院が見つからない状態。ようやく病院が見つかり入院することができましたが、病状が急変し帰らぬ人となりました。
その後、父の会社と借金と持ち家を相続しました。実は、はじめは相続を放棄するつもりで手続きを進めていたんですが、裁判所に必要な書類をすべて提出すると、最後に「これは本当にあなたの意思ですか」という確認の手紙が届くんです。
兄弟はすぐに返事をしたらしいのですが「あなたの意思」という部分に私は引っかかってしまって。その時に「茨の道を選ばない私は私じゃない!」と、衝動的にすべてを背負い借金を含めた遺産相続をすることを決心しました。
そうして父から受け継いだ、日本のものづくりの精神と今まで自力で培ってきたコーヒーのノウハウを活かして、金属に特化した日本製の珈琲器具のメーカーにんるプロジェクト「quissaco(キッサコ)」を始動しました。
完成までもう少し時間がかかりますが、日本のものづくりの精神を持って世界に発信し、そこで得たものを日本に貢献していくそんなプロジェクトにしていきたいと考えています。今では私1人の夢ではありません。ぜひ皆様の温かいご支援ご協力お願いします!
焙煎の敷居を下げる、あらゆる人にひらかれた焙煎機
私たちの焙煎機が想定している顧客は、小規模スペシャルティコーヒー専門店と感度の高いお客様に向けたレストランやホテルです。
デザイン性、機能性の課題を解決し、焙煎をこだわりたい小規模スペシャリティコーヒー事業者はもちろん、専任の焙煎士はいなくてもこの焙煎機を置くことでスペシャルティクオリティの生豆の仕入れを選択できるお店を増やしていきたいです。
そうすることで仕入れの価格も抑えられ、より珈琲を良い状態で仕入れ提供できるようになります。
コーヒーのプロがつくる、本格的なエスプレッソメーカー
エスプレッソメーカーの開発は焙煎機開発に続く、荒井鉄工所の第二弾プロジェクト。2022年の春からはじまった構想は、燕三条の方々とのセレンディピティな出会いを通して、徐々に形になっていきました。
エスプレッソを上手に淹れるためには、条件があります。例えば、挽いたコーヒーの細かさやお湯の温度、抽出時間が適切でないと、クレマはきちんと出てこない。クレマが上手にできていると、良いエスプレッソだと言えます。コーヒー屋がつくるエスプレッソメーカーにするからには、絶対にこのクレマが出ないといけないなと思いました。
こだわった結果、最終的な形はレバー式のエスプレッソメーカーになりました。しかもこれは、SOL'Sのお店でも使っている業務用ポルタフィルターと同じ規格が使用可能です。フィルターの世界基準は58ミリで、一般的なメーカーのエスプレッソマシンは基本的にこの規格が使われています。同じ規格のフィルターだから、他のプロ仕様のメーカーのものを使うこともできるし、家に高価なエスプレッソマシンがなくても、プロ仕様関連アクセサリーを楽しむことができます。
初めての開発で、どこを完成とするのかを自分たちで決める点苦しみました。本当にこれでいいのか。もっと良くなるんではないか。そんなことを考えたらキリがないのですが、今は不安以上にお披露目できることをワクワクしています。
円弧をモチーフに開発設計したこと、電気を使わず心地良い空間で使うことを想定したことから
「ARCO(アルコ)」と名付けました。
どうか皆さんに長く愛される道具になりますように。
スペック
商品名 | ARCO |
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サイズ |
254mm (レバーを含める横幅) 164mm(接地面の直径) 308mm(高さ) |
重量 | 3.3 kg |
カラー | シルバー / ブラック |
生産国 | 日本 |